天切り松闇がたり
黄不動の栄治が椎名桔平というのはイメージ通りの配役だった。おさよが井川遙ってちょっと幸ありすぎるだろ。まあキャラ的にそんな薄幸さを前面に出されても困るが。あと永井荷風の岸部一徳は妖し過ぎ。
全体としては、原作をうまい具合に薄めて薄めて2時間にまとめた、という感じ。大体1話ごとに1時間〜2時間のドラマを作れるくらいの内容だから、時代背景だとかそれぞれの技とか教訓だとか*1書生常のエピソードだとかがだいぶ省かれて筋だけ追ってみました、みたいになっていた。原作と首っ引きだったが脳内補完すると思わずエレクトしそう。あとおさよの死で終わらせるあたりが金曜エンタテイメントとして秀逸だと思った*2。そういえば獅堂が入ってきて改心して終わるっていう流れ的には、全体で一話という構成になってるな。
それにしても江戸弁があまり上手くなくてちょっと萎えた。六平直政と梅津栄、左とん平は神。勘九郎と渡辺謙も流石*3。おこん姐さん*4はごくたまに違和感。椎名桔平はもう一つ。子役は泣けてくる。生粋の江戸っ子を気取る気はないが、あれはちょっと辛い。心意気とか洒落とかがだいぶ抜け落ちているのも相まって、粋に欠けてる。これが痛すぎる。もっとも、普段の2時間ドラマでやるようなスジもなにもあったもんじゃないクソ刑事ドラマより万倍マシだが。
とりあえず、天切り松の名付け親が東郷元帥だった、ていうのは流石に浅田次郎らしい話だと思った。今回ドラマ化に際して書き下ろすあたりに彼のサービス精神を感じる。