痴漢で思い出した。

何でこんな単語をいちいち国語辞典で調べたかというと、オレはかつて痴漢呼ばわりされたことがあるからだ。


高校一年のときだった。クラスには仲のいい連中が集まっていたし、担任の先生は非常にカッコいい漢だった。(R.I.P)中高六年間でもっとも楽しい時期だった。適度に教師に反抗を繰り返し、適度にキレられる。そんな日々がずっと続いていた。


ある体育の時間。クラスが半分に分かれて、前半バドミントン、後半卓球をやることに。オレらは狂喜乱舞した。オレは卓球は得意じゃない。むしろ苦手だ。しかし体育で卓球をやるのは嬉しかった。というのも、卓球は体育館の二階のスペースでやることになっており、そこは当然の如く教師の目が届かないからだ。一体誰が卓球などやるだろう。いやそれどころか卓球部の奴が率先してサボっていた。トークに興じ、漫画を読みふけり、カード麻雀に精を出した。教師に見つかるのは時間の問題だった。


「おまえらは人に隠れてこそこそと卑怯なことをする痴漢だ」


そこにいる全員の口が半開きになった。良く見るとみんな目元にステキな笑いが。そのときの説教(というよりその教師の説教はいつもそうだが)はそれで終わった。状況は改善されなかった。しかし彼の言葉は今もオレの胸に焼きついている。そして、当時の同級生と会うたびに彼の事をネタにしてゲラゲラ笑っているのだから、彼の説教も決して無駄じゃなかったんだなあと思う。こういういい思い出に協賛してくれた彼はオレの中では名(物)教師として燦然と輝いているのかもしれない。実際のところ、オレが今まで出会った人間の中で、リアルに精神を病んでしまった人を除けば彼はトップのキチガイである。んー…何ていうか…最強伝説?