平壌ハイ/石丸元章

4年前だったか、某雑誌の書評で

「バスの中で北朝鮮の体制を罵倒し、高級レストランで犬肉を喰らい」

などと書かれていたのでめちゃめちゃ欲しかった一冊。
本郷で見つけたので懐かしみつつ購入。

今思うと、4年前ったら拉致問題こそ取りざたされていたものの、日朝交渉が断続的に行われていた時期であり、
極めて微妙なころだったんだなぁ。感慨深い。

今でこそ、両者の関係は最悪だし、国民感情もお互い憎悪しあっているような感じだが、
たった4年前に行った物好きな連中は

平壌に住んでいる北朝鮮人民たちよりも、むしろ日本にいる我々のほうが北朝鮮についてよく見えている、見えすぎている。
だからオレ達日本人が北朝鮮に行くとそこでまじめに繰り広げられている”現実”というものの悲しさとバカバカしさ、
そして滑稽さと切なさを、北朝鮮人以上に痛いほど感じさせられるハメになる。

と語っているのだ。それは、

北朝鮮って国は、まあ言ってみれば主体思想のテーマパーク、だと思うんスよ」

というセリフに端的に現れている。

2003年現在、こういう事態になった以上、北朝鮮と日本とは徹底的に憎みあわなければならないようになっているし、
またそうであらねばならないであろうが、
「あの国」がそういう国であることも認識する必要があるのだろう。

どうでもいいが、タイトル”平壌ハイ”の「ハイ」は
「たけちゃん、ハイ!」の「ハイ」ではないらしい。
この本を読んで一番最初に驚いたことである。



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